2025/07/11 20:43
アクセサリーショップ星の行く末のシルバーアクセサリーについて、制作過程をご紹介。今回はこちらの、ユキノシタのイヤーカフです。

こちらの写真は、鋳造前のワックス原型と完成後の写真です。ワックス原型は、この原型の形の通りのシルバーが鋳造で上がるので、作りたい作品の形にワックスを削ったり溶かしてりして制作します。この写真のイヤーカフの場合、板状のワックスから最初に花の形を糸鋸で切り出し、その後、ブロック状のワックスからイヤーカフの概形を削り出したものを熱したペンで溶かしつけたという工程だったと思います。花のおしべとめしべは、あとから溶かしたワックスを盛り付けて作り出したものです。
細かい造形は、様々な道具を駆使して感覚のままに進めます。実際のユキノシタの花の造形を忠実に再現するばかりではなく、こんな曲線の方がいいかもしれないと思ったら、少しフィクションも混ぜながら美しさを追求します。何か違うなと思ったら、溶かしたワックスを盛りつければもう1回やり直しが出来る場合もあります。ですがその際に、周りの造形まで一緒に溶かしてしまって落胆することも。これが意外とペンの温度調整や指先の細かな技術など、熟練が必要な作業かもしれませんね。
イヤーカフの表面の仕上げは、熱したペンで表だけを溶かしてとろっとした質感にしています。そしておしべとめしべの先端には、この写真の後に穴を開けて、石留のための爪を削り出しました。ワックス原型の出来上がりを想像してみて、なにか物足りなく感じたからです。結果的には、華やかさと個性が加わり良い選択だったと思います。
表面仕上げについては、全体的に鏡面に仕上げていますが、磨きづらい花びらの部分などはあえて手を入れず、鋳肌のマットな質感を残しています。鏡面とグラデーションになるようにし、すこしキラキラと輝く感じが気に入っています。

最後に、めしべに金メッキをかけて完成です。この工程で、ユキノシタの花がイキイキとしはじめるのを感じます。自宅用のメッキ機を購入しているので、こういった部分メッキなどに重宝します。私は特に、全面同じ色にするよりも部分的に色を変えたいデザインが多いと思ったので、迷いましたが購入にいたりました。ゴールド以外にもピンクゴールドやクローム色メッキ、真鍮メッキ用のニッケルメッキ(下地用)や銀メッキも揃えましたので、さまざまな色のシルバーアクセサリーや、真鍮にメッキをして変色を抑えることで、シルバーでは高額になってしまう大ぶりのアクセサリーを真鍮で安価に制作することも考えています。
今後は、もっと途中経過の写真も撮っておくことを心がけます。夢中で机に向かっていると、写真どころか、寝食すら忘れてしまうので……。
この頃は体力の限界でなかなか作業が出来ていませんが、作りたいもののアイデアやデザイン画は山ほど溜まっています。それらも早く皆様にお披露目できる日が来ることを願っております。